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鳥取地方裁判所米子支部 昭和34年(ワ)121号 判決 1964年3月31日

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者の申立

一、原告の申立(請求の趣旨)

鳥取県西伯郡大山町大山字上野原一四四番原野二二町八反歩及び同所一四七番原野七〇町二反歩の各土地上の黒松、赤松、雑木等一切の立木は原告の所有であることを確認する。

訴訟費用は被告の負担とする。

二、被告の申立

原告の請求を棄却する。

第二、原告主張の請求原因

一、鳥取県西伯郡大山町大山字上野原一四四番原野二二町八反歩、同所一四五番山林二五町一反歩は原告の所有、同所一四六番原野四三町七反一畝五歩、同所一四七番原野七〇町二反歩は訴外大村甚三郎の所有であつたが、右一四四番、一四五番の土地及び一四五番地上の黒松の立木は昭和二二年一〇月二日に、右一四六番、一四七番の土地及び一四六番地上の黒松の立木は同年七月二日に自作農創設特別措置法に基づき、それぞれ所有者から国によつて買収され、右各土地及び立木は同二五年五月一日に国から被告に売渡され、同二六年一〇月二六日右各土地につき所有権移転登記がなされた。

二、ところで、右一四四番及び一四七番の地上立木は右一四五番、一四六番の地上立木とは異なり、右買収の対象から除外され、依然として、一四四番の地上立木は原告の、一四七番の地上立木は訴外大村甚三郎の所有に属していたのであるが、原告は同三四年一月三一日右一四七番の地上立木を右訴外大村甚三郎から譲渡を受け、右一四四番一四七番の地上立木につき所有者として収益処分して来たものである。

三、しかるに、被告は右二筆の地上立木が自己の所有であると主張してその所有権を争うので、右立木が原告の所有であることの確認を求める。

四、なお、右一四四番、一四七番の地上立木が土地と一体として買収されていない事実は、(1)国は右買収に際し右一四四番一四七番の地上立木を買収の対象としない旨の特別の意思表示をしたこと、(2)未墾地買収の対象の土地上にある立木等の物件の買収は開発後における土地の利用上必要な最少限度に限られるべきところ、右一四四番、一四七番の地上立木は開発後の土地の利用に何等必要としないこと、(3)自作農創設特別措置法で買収の対象となる立木は立木登記又は明認方法をなした立木に限られ、又買収対象地上の竹木は土地と共に買収対象となるが、一四四番、一四七番の地上立木は立木登記もなく、明認方法もなしておらず、又竹木ではないから本来買収の対象とならないものであることから明らかである。

第三、被告の答弁

原告主張事実のうち、第一項の事実、第三項のうち被告が一四四番、一四七番の地上立木を自己の所有であると主張している事実、第四項のうち右立木につき立木登記及び明認方法のなされていなかつた事実は認めるが、その余は争う。

国は一四五番、一四六番の土地の買収に際し、その地上立木については相当の価格を有するものとして自作農創設特別措置法第三〇条第一項第四号によつて特別に買収する措置をとつたけれども、一四四番、一四七番の地上立木についてはそれには及ばないものとして右土地と共に買収したものである。

第四、証拠(省略)

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